耳鼻咽喉科展望
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ジェットネブライザー施行時の嚥下による鼻腔内圧の変化
本間 裕横山 貴康野中 聡海野 徳二
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1996 年 39 巻 Supplement2 号 p. 137-140

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抄録

副鼻腔炎に対するエアロゾル療法を有効に行うためには, 必要量の有効物質を副鼻腔に送り込むことが重要である。そのため種々の方法が検討されているが, 吸入中に嚥下運動を行うこともそのひとつである。今回我々は, 鼻ネブライザー施行時の嚥下運動により鼻腔内圧がどのように変化するかを測定し, ネブライザー施行中における嚥下運動の効果を再検討した。ジェットネブライザーを一側鼻腔から行い, 他側からは鼻腔内圧を測定し, 同時に外耳道圧も測定した。ジェットネブライザーの流量を0から毎分3リットルの間で数段階に調節し, 各々の流量における嚥下時の鼻腔および外耳道圧の変動を記録した。嚥下時に鼻腔内圧は上昇し, 流量の増加につれて変動は増大した。毎分3リットルの流量では鼻腔内圧は約20cmH2O上昇した。外耳道圧の変動は流量毎分0.5リットルから起きた。ネブライザー施行中の嚥下運動により, 副鼻腔に対してのネブライザー療法の効果は高まり, さらにその効果は耳管, 中耳にも及ぶことが再認識された。

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