耳鼻咽喉科展望
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鼻・副鼻腔間の流体交換における実験的研究
小森 真由美近藤 由香高須 昭彦岩田 重信
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1996 年 39 巻 Supplement2 号 p. 141-144

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抄録
鼻・副鼻腔間の換気については今だ一定の見解が得られていないため鼻・副鼻腔モデルを作製し調べた。
まず, 水力学的実験としてモデル内に水を満たし, ピストンで脈動流を発生させ圧力測定を行った。また, 鼻腔部と副鼻腔部に濃度の異なった水溶液を入れて換気し, 濃度変化を測定し, 一呼吸の副鼻腔内容の交換率を求めた。
さらに空気力学的実験としてガラス製モデルに抵抗をつけ, 450mlのポンプにて脈動流を発生させ鼻腔と副鼻腔の圧力を測定した。実験は鼻腔抵抗と自然孔径を変えて行った。
水力学的実験では鼻腔圧と副鼻腔圧の変化は位相差がありピストンの回転数が増加すれば, 副鼻腔の圧力変動は大きくなり両者間の換気が増大することが示唆された。副鼻腔の容積が小さいと交換率が2倍以上になり, 内部の拡散には関係が深いことが分かった。
また, 空気力学的実験では抵抗を増大させる程, 鼻腔部の圧力も副鼻腔の圧力も大きくなり, 自然孔径が小さくてもほぼ同じ変動曲線を示した。後部に抵抗を付けることにより, 副鼻腔内に空気が流入しやすくなると考えられた。
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