耳鼻咽喉科展望
Online ISSN : 1883-6429
Print ISSN : 0386-9687
ISSN-L : 0386-9687
喉頭ネブライザーにおけるエアロゾル粒子の沈着の検討
熊澤 博文朝子 幹也山下 敏夫河 相吉
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 39 巻 Supplement2 号 p. 170-175

詳細
抄録

喉頭ネブライザー療法は, 急性および慢性咽喉頭炎等の各種疾患に対し, 抗生物質やステロイド等の薬剤を喉頭の局所に到達させ, その薬理作用を促すことを目的とする。今回著者らは, ネブライザーを使用する患者による吸入方法の工夫で, 喉頭への薬剤沈着の程度の差違の有無に注目し検討を行った。健常成人男性に99m-Tc-diethylenetriamine pentaacetic acid (DTPA) 含有生理食塩水を, 超音波ネブライザー (オムロン社製: NEU-11B) にて吸入させ, 喉頭, 咽頭, 肺への沈着率を各種呼吸条件で比較した。深くゆっくりした呼吸 (毎分12回) では, 肺への沈着率が高く, 喉頭への沈着率が最も低かった。しかしながら, 毎分36回の比較的速い呼吸では, 肺への沈着率が減少し, かつ喉頭への沈着率が増加した。さらに, この毎分36回の呼吸に発声を付加すると, 喉頭への沈着率は最も高くなり肺への沈着率をうわまわった。以上の結果は, 喉頭ネブライザー療法の際, 患者による吸入方法が喉頭への沈着の程度に及ぼす重要な因子の一つと考えられた。

著者関連情報
© 耳鼻咽喉科展望会
前の記事 次の記事
feedback
Top