抄録
鼻出血を主訴とするオスラー病 (遺伝性出血性末梢血管拡張症) の5症例を経験した。オスラー病は, 多発性末梢血管拡張, 反復する同部からの出血, 遺伝性を3主徴とする疾患で, 鼻出血を主訴とすることが多く, その止血にはしばしば難渋することが多い。今回, ガーゼタンポンによる圧迫, 鼻中隔粘膜電気焼灼術, 下鼻甲介粘膜内フィブリングルー注入, 下鼻甲介粘膜切除及び皮膚移植など種々の治療法を試みたが, いずれも一時的な治療効果しかなく, 長期的な経過観察が必要と思われた。今後集約的な治療法の確立が必要であると考える。