耳鼻咽喉科展望
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右耳前下部に発生した石灰化上皮腫の1症例
添田 一弘柳 清内田 豊飯田 誠菊池 康隆
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1997 年 40 巻 3 号 p. 329-333

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抄録

石灰化上皮腫 (calcifying epithelioma) は1880年Malherbeにより初めて独立疾患として報告された皮下組織に関連して発症する良性腫瘍である1) 。毛母由来の良性腫瘍で, おもに皮膚科領域で扱われ, 当科領域では報告が意外と少ない。今回, 我々は23歳男子の右耳前下部に発生した石灰化上皮腫の1例を経験した。腫瘍は皮下脂肪組織内に存在し, 周囲との癒着はなく, 摘出は容易であった。
本症例は, その発生部位からみて, まず耳下腺原発の腫瘍と考えられたが, 摘出組織はこの部位には稀な腫瘍であった。耳下部およびその周囲は種々の組織が錯綜しており, そこに発生する腫瘍の最終診断は摘出後の病理組織診断あるいは生検によらねばならない例が少なくない。

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