耳鼻咽喉科展望
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治療により睡眠時の成長ホルモン (GH) 分泌が著明増加した閉塞性睡眠時無呼吸症候群 (OSAS) の1症例
千葉 伸太郎足川 哲夫徳永 雅一森山 寛林 成彦
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1997 年 40 巻 6 号 p. 640-647

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抄録

成長ホルモン分泌は概日リズムをもち, 徐波睡眠と深く相関し分泌のピークを持つことが知られている。今回, 我々は小児OSAS症例において睡眠障害と成長ホルモン分泌について検討する機会を得たので報告する。症例は8歳男児, 傾眠傾向, 睡眠時無呼吸を主訴に来院した。身体所見 : BH=130cm, BW=56.5kg, BMI=33.0, アデノイド, 口蓋扁桃肥大を認めた。終夜睡眠検査の結果, AHI=68.7回/時でOSASと診断し, 減量の後adenotollsillectomyを施行した。術直後より無呼吸は消失し, AHI=6.8回/時と著明改善した。術前後のsleep diagramと入眠後180分間の血中GH値を比較すると術前は深睡眠を認めず, 本来みられる入眠後の血中成長ホルモン分泌のピークが欠如し, 分泌は低値であった。術後は深睡眠の出現に同期するように分泌のピークが出現した。

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