小児耳鼻咽喉科
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原著
小児上気道感染症患児の鼻咽腔から検出されたインフルエンザ菌の薬剤耐性の変化
宇野 芳史
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2009 年 30 巻 3 号 p. 308-320

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抄録

  2003年から2007年に当院を受診した小児上気道感染症患児の鼻咽腔から検出された Haemophilus influenzae 5297株を対象に薬剤感受性および耐性率について検討を行った。H. influenzae の Ampicillin に対する薬剤感受性の変化は,いずれの年度も 2 峰性のピークを示していたが,ピークの位置は各年度で異なっていた。耐性率では BLNAS, low BLNAR, BLNAR, BLPAR 毎の割合で検討してみると,2003年には,BLNAS の割合が約55%であったものが,2005年以降は70%を超えるところまで回復,特に2006年には85%近くにまで回復していた。ただ,2007年にはそれまでの年度と比べ BLPAR の割合が10%を超えるところまで増加していた。また,逆に low BLNAR と BLNAR を加えた割合は2004年には45%を超えるところまで増加していたが,2007年には10%前後にまで減少していた。PBP 遺伝子の変異について検討を行うと,2003年のみいずれの遺伝子も変異していない株が最も多く認められたが,その後の年度は pbp3–1, 2 の両 PBP 遺伝子とも変異している株が最も多く認められた。また,TEM 型遺伝子の出現と pbp3–1, 2 の両 PBP 遺伝子の変異が認められた株は年度を追う毎に増加していた。耐性率を gBLNAS, glow BLNAR, gBLNAR, gBLPAR, glow BLPACR, gBLPACR 毎の割合で検討してみると,gBLNAS と glow BLNAR の割合は徐々に低下しており,逆に gBLNAR の割合は2003年から2007年にかけて倍近く増加していた。TEM 型遺伝子を持つ gBLPAR, glow BLPACR, gBLPACR を合わせた割合は2007年には2003年の約 2 倍以上に増加していた。しかし,薬剤感受性による耐性率の分類と遺伝子変異による耐性率の分類との間に乖離があり,今後検討を要するものと考えられた。

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© 2009 日本小児耳鼻咽喉科学会
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