耳鼻咽喉科展望
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聾仔猫の聴覚伝導路の可塑性に関する研究
加藤 朗夫
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1997 年 40 巻 Supplement1 号 p. 11-18

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抄録
聴覚伝導路の発達と可塑性について, 仔猫を用いて実験的に検討した。方法は出生後早期に聾とした仔猫9匹に, ある一定期間の後人工内耳を挿入し, 一定期間慢性電気刺激を行った (刺激群) 。同様に人工内耳を挿入し慢性電気刺激を行わないもの7匹を対照 (非刺激群) とした。その後2-DG (2-dexyglucose) を静注と同時に急性電気刺激を行い, 速やかに脳幹を摘出し, 下丘切片の画像解析を行い, 2-DG取り込み率を算出し検討した。その結果, すべての聾期間において刺激群の下丘における2-DG取り込み率が増加し, 人工内耳による慢性電気刺激の効果が確認された。また聾期間別には, 少なくとも刺激開始が生後180日までは取り込み率は徐々に増加し, 500日以降では低下し, 臨界期の存在が示唆された。また, 非刺激群における反応も, ある時期までは反応増大が見られ, 長期になると反応低下が認められた。
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