耳鼻咽喉科展望
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40 巻 , Supplement1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 博久 詠司
    1997 年 40 巻 Supplement1 号 p. 3-10
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    現在人工内耳は臨床に広く応用され, 今後言語習得前の先天性聾児への適用も増えると思われる。しかし, 幼児へ適用する際の人工内耳による慢性電気刺二激の聴覚伝導路への影響はいまだ不明である。
    今回我々は8匹の聾仔猫を使用し, 慢性電気刺激による蝸牛神経核細胞面積を検討した。刺激開始100日群と140日群において, 刺激された部位では神経細胞面積が大きく, 有意差がみられた。しかし, 180日群, 500日群では刺激された部位に特に神経細胞面積が大きい傾向はみられなかった。これは, 慢性電気刺激による蝸牛神経核細胞の形態学的成熟が, 生後140日までの刺激開始では認められるが, 180日以後の刺激開始では効果が低下することを意味しており, 蝸牛神経核細胞の成熟の検討では幼児人工内耳の適用に年齢を考慮する必要があることを示唆する。
  • 加藤 朗夫
    1997 年 40 巻 Supplement1 号 p. 11-18
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    聴覚伝導路の発達と可塑性について, 仔猫を用いて実験的に検討した。方法は出生後早期に聾とした仔猫9匹に, ある一定期間の後人工内耳を挿入し, 一定期間慢性電気刺激を行った (刺激群) 。同様に人工内耳を挿入し慢性電気刺激を行わないもの7匹を対照 (非刺激群) とした。その後2-DG (2-dexyglucose) を静注と同時に急性電気刺激を行い, 速やかに脳幹を摘出し, 下丘切片の画像解析を行い, 2-DG取り込み率を算出し検討した。その結果, すべての聾期間において刺激群の下丘における2-DG取り込み率が増加し, 人工内耳による慢性電気刺激の効果が確認された。また聾期間別には, 少なくとも刺激開始が生後180日までは取り込み率は徐々に増加し, 500日以降では低下し, 臨界期の存在が示唆された。また, 非刺激群における反応も, ある時期までは反応増大が見られ, 長期になると反応低下が認められた。
  • 米本 清
    1997 年 40 巻 Supplement1 号 p. 19-27
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    20~69歳の409耳を対象にDPOAEの測定を行い, 純音聴力閾値と共に年齢との関係を調べた。その結果, 純音聴力閾値と高い刺激周波数によるDPOAEでは年齢に対してほぼ直線的に低下していたが, 低い刺激周波数における変化は他と異なっていた。そこで, これらの差が聴覚中枢の劣化が影響しているものと考え, その程度を推測するために, 音刺激を与えてから反応するまでの時間を測定し, 年齢との関係を調べた。その結果, 低い周波数における純音聴力閾値は若年層では末梢での機能低下がほとんどみられないにもかかわらず中枢の関与が大きく影響しているために上昇しているのではないかと推察された。また, 低い刺激周波数によるDPOAEの結果から聴覚末梢の劣化は40歳前後を境に始まるのではないかと考えられた。
  • 鈴木 伸弘
    1997 年 40 巻 Supplement1 号 p. 28-39
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    我々はERPの中のCNVおよびP300を指標として方向感を測定し, それらの基礎的性質ならびに臨床応用の可能性について研究した。対象はCNV20名, P30015名の聴力正常人とし, 各両耳間時間差 (ΔT) についてCNVは平均電位, P300は頂点潜時と電位を測定した。また両法によるΔTの閾値を自覚的なΔTの閾値と比較検討した。CNV平均電位は対照と比較したBurian法と対照を使用しないPrevec法で行い, 前者の方が電位は小となったが, 両者とも各ΔT間において電位は有意差を認めなかった。P300はodd-ball課題に従うと周波数弁別の場合の電位変動に類似し, その出現は刺激の種類によりも標的刺激の出現確率に左右された。自覚的な方向感閾値との比較ではP300よりCNVの方が近似した。また臨床例として小脳橋角部腫瘍例と心因性難聴例に施行したが, 両法ともその有用性が判明した。
  • 野原 忍
    1997 年 40 巻 Supplement1 号 p. 40-51
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    2台の方向感測定装置を利用して, 信号音 (S) と雑音 (N) の両耳間時間差 (△T) を別個に変動した場合のmasking level difference (MLD) を, Sとして純音, 低域濾波クリック音, 57式もしくは67式語表の語音, Nとしてそれぞれ, 同一中心周波数帯域雑音, オージオメータ出力の荷重雑音を用い, 純音, 濾波クリック音を自記オージオメータで測定し, 語音は明瞭度を検査した。また同じ条件で, 内耳性難聴と後迷路性難聴についても, 純音ではS0N0を基準としたS (+650) N (-650) のMLDと語音のMLDを測定し, 方向感機能と純音のMLDが従属事象であることを確認した。このことから純音のMLDは, おのおのの測定条件を遵守した場合, 後迷路性難聴の診断に有用であり, この現象より両耳聴効果について論じた。
  • 雁金 理華子
    1997 年 40 巻 Supplement1 号 p. 52-58
    発行日: 1997/02/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    三次元再構築法は, 三次元での距離, 角度, 面積, 容積や密度の測定を可能にした。本論文では, 蝸牛のコンピュータによる三次元再構築を行い, 鼓室階の直径や長さ, 断面積, 容積などについて求め, 一部MRI画像から測定した蝸牛の直径と比較した。また実際に人工内耳挿入の側頭骨においてらせん神経節細胞密度などを測定し, 従来の方法と比較し三次元再構築による解析の有効性について検討した。コルチ器の長さは平均35.58mm, 蝸牛基底回転 (1/4~3/4回転) の外径と内径はそれぞれ平均6.77mm, 3.01mmでMRI画像から測定した値との間に差がみられた。鼓室階容積は平均37.16mm3で, 断面積は基底回転起始部より3~4mmを頂点に減少していた。人工内耳挿入の蝸牛内には骨化や線維化, らせん神経節細胞の減少がみられた。三次元再構築による蝸牛内構造の測定は, 従来の検討法に代わるべきものとして期待できる。
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