2台の方向感測定装置を利用して, 信号音 (S) と雑音 (N) の両耳間時間差 (△T) を別個に変動した場合のmasking level difference (MLD) を, Sとして純音, 低域濾波クリック音, 57式もしくは67式語表の語音, Nとしてそれぞれ, 同一中心周波数帯域雑音, オージオメータ出力の荷重雑音を用い, 純音, 濾波クリック音を自記オージオメータで測定し, 語音は明瞭度を検査した。また同じ条件で, 内耳性難聴と後迷路性難聴についても, 純音ではS
0N
0を基準としたS
(+650) N
(-650) のMLDと語音のMLDを測定し, 方向感機能と純音のMLDが従属事象であることを確認した。このことから純音のMLDは, おのおのの測定条件を遵守した場合, 後迷路性難聴の診断に有用であり, この現象より両耳聴効果について論じた。
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