耳鼻咽喉科展望
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CNVおよびP300を指標とした方向感検査の研究
鈴木 伸弘
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1997 年 40 巻 Supplement1 号 p. 28-39

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抄録
我々はERPの中のCNVおよびP300を指標として方向感を測定し, それらの基礎的性質ならびに臨床応用の可能性について研究した。対象はCNV20名, P30015名の聴力正常人とし, 各両耳間時間差 (ΔT) についてCNVは平均電位, P300は頂点潜時と電位を測定した。また両法によるΔTの閾値を自覚的なΔTの閾値と比較検討した。CNV平均電位は対照と比較したBurian法と対照を使用しないPrevec法で行い, 前者の方が電位は小となったが, 両者とも各ΔT間において電位は有意差を認めなかった。P300はodd-ball課題に従うと周波数弁別の場合の電位変動に類似し, その出現は刺激の種類によりも標的刺激の出現確率に左右された。自覚的な方向感閾値との比較ではP300よりCNVの方が近似した。また臨床例として小脳橋角部腫瘍例と心因性難聴例に施行したが, 両法ともその有用性が判明した。
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