抄録
三次元再構築法は, 三次元での距離, 角度, 面積, 容積や密度の測定を可能にした。本論文では, 蝸牛のコンピュータによる三次元再構築を行い, 鼓室階の直径や長さ, 断面積, 容積などについて求め, 一部MRI画像から測定した蝸牛の直径と比較した。また実際に人工内耳挿入の側頭骨においてらせん神経節細胞密度などを測定し, 従来の方法と比較し三次元再構築による解析の有効性について検討した。コルチ器の長さは平均35.58mm, 蝸牛基底回転 (1/4~3/4回転) の外径と内径はそれぞれ平均6.77mm, 3.01mmでMRI画像から測定した値との間に差がみられた。鼓室階容積は平均37.16mm3で, 断面積は基底回転起始部より3~4mmを頂点に減少していた。人工内耳挿入の蝸牛内には骨化や線維化, らせん神経節細胞の減少がみられた。三次元再構築による蝸牛内構造の測定は, 従来の検討法に代わるべきものとして期待できる。