耳鼻咽喉科展望
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慢性副鼻腔炎軽症例に対する内視鏡下鼻内手術
牛嶋 千久全 一福島 龍之村上 匡孝安田 範夫八木 正人
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1997 年 40 巻 Supplement2 号 p. 121-125

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抄録
当科では, 従来長期間保存的に加療されていたような軽症の副鼻腔炎症例につき, マクロライドを数ヵ月使用しても改善をみないものは, 積極的に内視鏡下鼻内手術を勧めている。今回このような軽症例に対し, その特徴的所見, 治療期間について検討を加えてみた。
軽症でありながらマクロライド少量長期投与による治療に抵抗性で, 最終的に手術を必要とする副鼻腔炎症例の特徴として, ostiomeatal complexの閉塞性病変の存在があげられる。副鼻腔とくに前頭洞, 篩骨洞, 上顎洞の換気・排泄の経路として重要な役割を果たしているのが, ostiomeatal complexである。この部分の疎通性を確保するのが本来機能的内視鏡下鼻内手術の基本理念であり, その目的を達せられた症例は術後良好な経過をたどっている。
一定期間の保存的加療で改善をみない症例には, 積極的に手術療法を導入した方が短い期間で確実な治療が行えると考えた。
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