耳鼻咽喉科展望
Online ISSN : 1883-6429
Print ISSN : 0386-9687
ISSN-L : 0386-9687
鼻粘膜上皮細胞からのIL-8産生と, マクロライドの抑制効果に対する検討
下村 明池田 勝久古川 正幸高坂 知節鈴木 秀明綿谷 秀弥
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 40 巻 Supplement2 号 p. 68-72

詳細
抄録

好中球を炎症局所に引き寄せるためのメカニズムではIL-8等のケモカインをはじめとする各種遊走活性因子が重要である。我々は慢性副鼻腔炎における好中球動員のメカニズムについて検討し, 副鼻腔炎の病態形成に対してIL-8を中心とした炎症モデルを提唱した。このモデルでマクロライドの作用機序について検討するために, 鼻粘膜上皮からのIL-8産生およびマクロライドのIL-8分泌に対する抑制効果についての検討を行った。その結果, 上皮細胞からのIL-8分泌は非刺激時にも認められ, LPS付加によりさらに増加することが認められた。この系にマクロライドを付加することにより上皮細胞からのIL-8産生が抑制されることが確認された。JMとEMとのIL-8分泌抑制効果の差異が10-6Mで認められ, この差異がマクロライドの構造による臨床効果の差異の原因の一つとなっている可能性が示唆された。

著者関連情報
© 耳鼻咽喉科展望会
前の記事 次の記事
feedback
Top