耳鼻咽喉科展望
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慢性副鼻腔炎における上顎洞粘膜の病理組織学的所見および粘液輸送能について
特に慢性副鼻腔炎重症度との関係について
深澤 啓二郎小笠原 寛阪上 雅史
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1997 年 40 巻 Supplement2 号 p. 89-91

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抄録
内視鏡下鼻内副鼻腔手術を行った慢性副鼻腔炎患者上顎洞粘膜の病理組織学的所見と粘膜粘液輸送能について検討した。また, 慢性副鼻腔炎重症度との関係についても検討した。上顎洞粘膜は鼻内手術の際に採取し, 走査型・透過型電子顕微鏡で観察した。術後, 7-10日後に上顎洞内へ青色latexbeads (直径3ミクロン) を少量注入し, その行方 (排泄能) をファイバービデオ下に観察した。術前の画像診断における重症症例の上顎洞粘膜では繊毛細胞の脱落が目立ち, かわって多角形で微絨毛を多くもつ細胞がみられた。軽症例では繊毛細胞の障害程度は少なかった。粘液輸送能では, 重症例にlatex beadsの排泄能の低下を示す傾向にあった。
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