抄録
ウイルスの上気道感染が急性副鼻腔炎の発症に関与していることはよく知られている。本研究では, Chinchillaを4群に分け, 経鼻的にアデノウイルスタイプ1 (AV1) およびノンタイプヘモフィルスインフルエンザ (NTHi) を同時あるいは経時的に投与した。AV1を投与されたChinchillaが高率にウイルス性上気道感染症状を呈することが示され, 特にAV1投与後7日目にNTHiを投与されたA群では, B群, C群と比較して鼻咽腔の組織病理学的障害および機能障害が最も強く, またD群, E群, F群では, A群, B群, C群と比較して鼻咽腔, 耳管, 鼓室の粘膜上皮の組織病理学的障害および機能障害が少ないことが示された。Chinchillaを用いた実験的上気道炎発症においてAV1とNTHiの相乗効果が強く示唆された。