抄録
外リンパ痩29症例に対して, 外耳道圧負荷重心動揺検査を施行した。検査結果をretrospectiveに検討することにより, 本検査が内耳窓痩孔の有無の診断に応用できるか否かについて検討した。比較検討のため突発性難聴24例, 健康成人13例に対しても外耳道圧負荷重心動i揺検査を施行した。重心動揺検査結果を各項目において, 健側外耳道圧負荷時に対する患側外耳道圧負荷時の変化率を計算し, この変化率について検討した。重心の動揺距離において, 外リンパ痩は健康成人に比し統計学的に有意に大きい値を示した。また, 突発性難聴と比較しても外リンパ痩は重心の動揺距離において有意に大きい値を示した。速度の動揺方向では, 外リンパ痩は突発性難聴より, 8方向中すべてにおいて変化率が大きい所見を認め, 患側後方向, 後方向, 健側前方向の3方向において変化率に有意差を認めた。また, 重心の動揺方向では, 8方向中5方向で変化率が大きく, 患側後方向と健側方向において有意に変化率が大きかった。したがって, 外リンパ痩の診断において圧負荷重心動揺検査は補助診断になりうると考えられた。