耳鼻咽喉科展望
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41 巻, 3 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 全身疾患と口腔粘膜病変 (II)
    西山 茂夫
    1998 年 41 巻 3 号 p. 192-193
    発行日: 1998/06/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
  • 山下 敏夫, 栗山 博道, 土井 直, 大西 純夫, 佐藤 一雄
    1998 年 41 巻 3 号 p. 194-208
    発行日: 1998/06/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    聴覚系における情報伝達機構を神経伝達物質を中心に検討した。まず上行性伝導路について;内耳蝸牛 (末梢) ではその神経伝導物質はグルタミン酸と考えられ, なかでもAMPA型受容体, GluR2/3, 4が関与することや, 中枢においても主たる神経伝達物質はグルタミン酸であり, それに種々の神経修飾物質が加わり, 情報処理と統合が行われることが考えられた。一方, 下行性伝導路について;中枢での神経伝達物質の主なものはアセチルコリンであり, これに種々の神経修飾物質が関与し情報の調節を行うことや, 内耳蝸牛 (末梢) においても主たる神経伝達物質はアセチルコリンであり, ATPがその調節物質として一定の役割を演じることなどを総説した。
  • 窄中 香織
    1998 年 41 巻 3 号 p. 209-224
    発行日: 1998/06/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    神経軸索障害後の神経の変性, 再生の機序を探る目的で顔面神経障害後の神経核の形態学的変化を検討した。顔面神経末梢軸索障害モデル (側頭骨外顔面神経圧迫および切断モデル) と, 中枢軸索障害モデル (脳内根切断モデル) を作成し, 運動神経細胞とその周囲の変化について免疫組織学的および電子顕微鏡的に観察した。さらにグルココルチコイド投与の影響について併せて検討を行った!その結果, 軸索障害後アストロサイトの活性化やsynaptic strippingが認められ, 運動機能が回復した後も引き続き観察された。これらの反応は障害程度が強いほど強く, 期間も長く認められた。また中枢軸索障害後では明らかに強い反応が認められ, さらにほとんどの神経細胞が細胞死に陥ることが分かった。グルココルチコイドの投与によりこれらの反応は抑制された。以上より顔面神経麻痺モデルは, 軸索障害後の神経細胞死や神経の再生過程を検討する上で有用な実験系であると考えられる。
  • 関 博之
    1998 年 41 巻 3 号 p. 225-232
    発行日: 1998/06/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    外リンパ痩29症例に対して, 外耳道圧負荷重心動揺検査を施行した。検査結果をretrospectiveに検討することにより, 本検査が内耳窓痩孔の有無の診断に応用できるか否かについて検討した。比較検討のため突発性難聴24例, 健康成人13例に対しても外耳道圧負荷重心動i揺検査を施行した。重心動揺検査結果を各項目において, 健側外耳道圧負荷時に対する患側外耳道圧負荷時の変化率を計算し, この変化率について検討した。重心の動揺距離において, 外リンパ痩は健康成人に比し統計学的に有意に大きい値を示した。また, 突発性難聴と比較しても外リンパ痩は重心の動揺距離において有意に大きい値を示した。速度の動揺方向では, 外リンパ痩は突発性難聴より, 8方向中すべてにおいて変化率が大きい所見を認め, 患側後方向, 後方向, 健側前方向の3方向において変化率に有意差を認めた。また, 重心の動揺方向では, 8方向中5方向で変化率が大きく, 患側後方向と健側方向において有意に変化率が大きかった。したがって, 外リンパ痩の診断において圧負荷重心動揺検査は補助診断になりうると考えられた。
  • 新井 泰弘
    1998 年 41 巻 3 号 p. 233-249
    発行日: 1998/06/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    頭頸部扁平上皮癌培養細胞を対象とし, 上皮成長因子 (Epidermal Growth Factor; EGF), 形質転換成長因子 (Transforming Growth Factor-alpha; TGF-α) の作用, またこれらの細胞のEGFレセプター (EGFR), c-erbB-2, cyclin D1発現, ビタミンA, Dの腫瘍細胞増殖に対する作用, 抗EGFR抗体の細胞増殖や化学療法の感受性などに対する影響を検討した。培養上清中のEGFおよびTGF-α産生量はすべて検出限界値以下であった。EGFR, c-erbB-2は全ての細胞に発現し, サイトカイン (IFN-α, β, TNF-α) によってEGFR発現は増強した。2種類の腫瘍がEGFによって増殖促進され, この増殖促進効果は抗EGFR抗体添加により抑制された。さらにこれら2種類の細胞にはセルサイクルの変化すなわちS+G2M期への集積がみられた。ビタミンA, DによるEGFR発現への影響はみられなかったが, ビタミンAによりEGFの腫瘍増殖促進効果が抑制された。cisplatin, 5-fluor-ouracil, adriamycinの抗腫瘍効果は抗EGFR抗体添加によって増強された。
    以上より頭頸部扁平上皮癌治療における抗EGFR抗体, ビタミンAなどの臨床応用の可能性が示唆された。
  • 深見 雅也, 柳 清, 春名 眞一, 神尾 正巳, 森山 寛
    1998 年 41 巻 3 号 p. 250-255
    発行日: 1998/06/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    内視鏡下鼻内手術は, 様々な鼻疾患に応用することが可能であり, 内視鏡下の経鼻的下垂体腺腫手術も報告されている。我々の行っている内視鏡手術について, 経験した下垂体腺腫3症例とともに報告する。
    内視鏡下に節骨洞および蝶形骨洞を開放して下垂体に到達する方法は, 容易で, 短時間に行うことが可能であった。CCDカメラに接続した内視鏡を助手が保持し, 術者は術野をテレビモニターで見ながら, 両手を使用して下垂体腫瘍の摘出を行うことができた。内視鏡によって, 従来の手術では得られなかったような広い視野を得ることができ, 蝶形骨洞内から, さらにはトルコ鞍内部の全体を観察することも可能であった。また術後の経過観察と治療も, 内視鏡下に容易に行うことができ, 鼻内に形態的あるいは機能的な障害を残すこともなかった。
    今後, 手術方法のさらなる改善が必要であるが, 内視鏡下下垂体腫瘍手術は, 最小限の手術侵襲で良い治療成績が得られる方法と考えられる。
  • (第二報) 簡易ピークフローメータを用いた鼻閉の経時的評価
    甲斐 智朗, 大越 俊夫, 臼井 信郎, 高木 芳夫
    1998 年 41 巻 3 号 p. 256-260
    発行日: 1998/06/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    花粉非飛散期に誘発したスギアレルギー患者の経鼻ピークフローを, 簡易ピークフローメータを用いて12時間連続測定し, あわせて鼻閉の程度, 鼻汁, およびくしゃみについても調査して検討を加えた。
    誘発後のピークフローの日内変化は誘発前よりも大きくなり (p<0.05), 自覚的症状も悪化した (くしゃみにおいてp<0.05) 。
    スギ減感作療法施行者は, 未施行者に比べてNBIの変動が小さい傾向があり, また自覚的鼻閉のピークまでの時間は減感作療法施行者で有意に短く (p<0.05), スギ減感作療法により即時型反応よりも遅延型反応のほうがより強く抑制されている可能性が示唆された。
    自覚的鼻閉の程度に関しては, 経鼻ピークフロー値と関連させて評価するには, 3段階の分類が妥当であり, また限界であるとも考えられた。
  • 秋山 香織, 石井 正則, 飯田 実, 吉田 茂, 辻 富彦
    1998 年 41 巻 3 号 p. 261-264
    発行日: 1998/06/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    巨大な顎下腺唾石が口腔粘膜を穿通し, 左臼後三角近傍に突出していた症例を経験した。
    症例は70歳男性。1997年2月頃より下顎義歯使用時に違和感が出現し, 同年5月頃より落痛を伴うため近医を受診し, 口腔内の所見より口腔腫瘤ということで当科紹介受診となった。画像所見, 病理組織学的所見より顎下腺唾石症と診断した。口腔内に突出していたため口腔内より容易に摘出できたが, 文献上巨大な唾石が口腔内に突出していたという報告は腺管に沿った棍棒状で腺管開口部から突出している場合が多く, 今回のような症例は非常に稀であり文献的考察を加えて報告した。
  • 樋口 彰宏, 新井 基洋, 斉藤 大, 岡本 牧人, 八尾 和雄
    1998 年 41 巻 3 号 p. 265-270
    発行日: 1998/06/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    内視鏡下鼻内副鼻腔手術用の新しいマイクロデブリッダーシステムの登場が相次いでいる。われわれは1997年11月よりハマー2を, また1997年12月よりXPSを慢性副鼻腔炎患者15例26側に使用して前機種 (ハマー) との比較をし, その有用性の検討を行った。その結果, 新しいマイクロデブリッダーシステムは, ハンドピースやカッターの改良, イリゲーション機能の追加などによって, 最大の欠点であった吸引の詰まりが大幅に改善され, 手術時間が短縮された。また節骨蜂巣の骨性の隔壁も薄ければある程度削除できるようになった。さらに今後は, 欧米ではすでに使用されている弩曲カッターの登場により, 直カッターだけでは難しかった上顎洞やfrontal recessなどの処理もかなり可能になると思われ, ESSにおけるマイクロデブリッダーの適用範囲が拡がって, その有用性がさらに向上するものと思われる。
  • 耳小骨が欠損している場合
    本多 芳男, 柳 清, 千葉 伸太郎, 藤原 朋樹, 太田 正治
    1998 年 41 巻 3 号 p. 271-275
    発行日: 1998/06/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
  • 河合 一重
    1998 年 41 巻 3 号 p. 276-283
    発行日: 1998/06/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
  • 他の保存的療法・外科的療法との併用による効果
    森山 寛, 大山 勝, 馬場 駿吉, 間島 雄一
    1998 年 41 巻 3 号 p. 284-291
    発行日: 1998/06/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
  • 有泉 光子, 多田 信平, 荻 成行
    1998 年 41 巻 3 号 p. 292-294
    発行日: 1998/06/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
  • 北村 正樹
    1998 年 41 巻 3 号 p. 295-297
    発行日: 1998/06/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
  • 遠藤 朝彦, 森山 寛, 山口 龍二, 斎藤 洋三, 石戸谷 淳一, 小口 直彦, 洲崎 春海, 藤谷 哲, 石塚 洋一, 山口 展正, 中 ...
    1998 年 41 巻 3 号 p. 301-324
    発行日: 1998/06/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    スギ花粉症を対象としてミゾラスチンの有効性と安全性を評価する目的で, 減感作療法のみを実施する群 (G群) と減感作療法を実施するとともにミゾラスチンを投与する群 (M群) の2群によるオープン比較試験を実施した。
    鼻アレルギー日記の集計結果より, 対照観察期間と比較してM群ではくしゃみ, 鼻みず, 鼻づまりのいずれの症状も本格飛散期1週目から, G群は初期または中期飛散期から有意差が認められた。また, 群間比較では鼻づまりの本格飛散期3週目で有意差 (M群<G群) が認められた。試験薬剤との因果関係が否定できない副作用は5例8件に認められ, 発現率は12.8%であった。副作用の内容は眠気が4件, だるさ, 口渇, 頭痛, 食欲不振が各1件であり, 重篤なものはなかった。また, 心電図所見においても異常変動は認められなかった。以上の成績より, 本剤はスギ花粉症に対して初期療法の効果が認められ, また, 安全であると考えられた。
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