1998 年 41 巻 5 号 p. 473-476
急性喉頭蓋炎は以前は小児に多い疾患とされていたが, 最近では成人の疾患として認識されている。その検出菌もインフルエンザ菌をはじめブドウ球菌, 溶連菌, 大腸菌から真菌類まで多岐にわたる。通常は抗生物質の投与, 局所処置, ネブライザーを中心とした保存的治療で軽快するが, なかには症状が急速に進行し, 挿管あるいは気管切開を余儀なくされる重篤な症例もある。今回私どもは急性喉頭蓋炎から急速に肺水腫を併発し, 気管内挿管下に集中治療室で全身管理を行い, 救命し得た1症例を経験したので報告した。肺水腫の原因は非心原性の肺毛細血管透過性の変化と考えられた。