耳鼻咽喉科展望
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唾液腺腫瘍の臨床統計
秋月 浩光瀬成田 雅光待木 健司原 晃草刈 潤
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キーワード: 唾液腺腫瘍, 臨床統計
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1999 年 42 巻 Supplement1 号 p. 65-75

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抄録

1988年から10年間に筑波大学耳鼻咽喉科で入院治療を行った大唾液腺原発腫瘍79例 (耳下腺70例, 顎下腺9例) について, 臨床統計学的調査を行った。組織学的には, 多形腺腫が全体の43.0%と最も多く, 悪性腫瘍は耳下腺腫瘍の24.3%, 顎下腺腫瘍の66.7%に認められた。耳下腺腫瘍における良性・悪性の診断は病歴と理学的所見のみで80%以上が可能であり診断の要になるものと思われた。画像診断では, 超音波検査, MRI (Magnetic Resonance Imaging) ともに正診率86.0%であったが, 特に深葉の病変に対してはMRIが有用であった。しかしワルチン腫瘍では悪性腫瘍と類似したMRI所見を呈するものがあり鑑別に注意を要すると思われた。また, 腫瘍径がT2以下の悪性腫瘍においては画像検査上良性と診断されやすいため, 細胞診や術中迅速病理診断などspecificityの高い検査を加えるべきである。一方, 耳下腺腫瘍の局在診断に関しては, 下顎後静脈の偏位を指標としたMRI診断の正診率が85.1%であり, 簡便で有用と思われた。

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