耳鼻咽喉科展望
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レーザードップラー表層血流計による鼻粘膜血流速度の検討
佐藤 春城
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2000 年 43 巻 1 号 p. 23-30

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抄録

鼻粘膜血管の特徴として, 容量血管と呼ばれる海綿静脈叢の存在が挙げられ, この海綿静脈叢にうっ滞する血液により, 鼻粘膜の腫脹が左右されると言われている。
今回私は, 被験者に比較的侵襲が少なく, 非観血的かつ連続的に, 組織における毛細血管血流速度を測定できるレーザードップラー表層血流計を使用し, 鼻粘膜血管における血流速度を測定した。
正常群と比較した場合にアレルギー群でレーザードップラー値が有意な低下を示し, 自覚症状を有するものと有しないものを比較した場合, 自覚症状を有するものでのレーザードップラー値に有意な低下を認めた。また鼻アレルギーの3大症状のうち, くしゃみや鼻汁を有するものと有しないものでのレーザードップラー値はそれぞれ有意な差が認められず, 鼻閉を有するものでのレーザードップラー値は鼻閉を有しないものでのレーザードップラー値と比し, 有意な低下を認めたなどの結果を得た。
したがってレーザードップラー表層血流計は鼻アレルギーの中でも, 特に鼻閉に対して客観的な評価ができると思われた。

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