抄録
アレルギー性鼻炎に対し, 内視鏡下に超音波振動メスを用い下鼻甲介粘膜処置の治療効果について検討した。対象は, 当科にて通年性のアレルギー性鼻炎と診断された20症例であった。年齢は7歳から34歳で男性12例, 女性8例であった。評価方法は, 術前および術後4週間後にくしゃみ, 鼻汁, 鼻閉について鼻アレルギー症状日記を記入してもらい, その症状を比較した。また, 鼻腔通気度を施行し術前後で比較した。結果は, 術前後の各鼻症状を比較するとくしゃみでは53%, 鼻汁では68%, 鼻閉では84%の有効率が得られ, 全般改善度では79%の有効率が得られた。また, 術前後の鼻腔通気度の比較では有意な改善を示し, アレルギー性鼻炎に対する超音波振動メスによる下鼻甲介の処置は有用であると思われた。現在, 最長で6ヵ月経過しているが, 再発の兆候や症状の再燃は認められない。