耳鼻咽喉科展望
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既存の扁桃異型肥大症に該当しない3症例
「扁桃腫瘤状肥大症」の提唱
榎本 仁司
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2006 年 49 巻 2 号 p. 71-75

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抄録
扁桃の特殊な肥大 (症) である扁桃異型肥大 (症) は, これまでに乳頭状肥大 (症) と振子状肥大 (症) (振子様扁桃) の2系統が報告されている。これらは肉眼的形状においては通常の扁桃に比し極めて異型であるが, 組織学的には両者とも通常の扁桃組織と同一であるという特徴がある。今回, 私はその形状がこの2系統とは全く異なる扁桃異型肥大症と判断できる症例を経験した。咽頭扁桃, 口蓋扁桃, 舌扁桃それぞれに見られた3例で, 咽頭扁桃と舌扁桃の症例では扁桃の一部が, 口蓋扁桃の症例では片側扁桃全体が腫瘤状に大きく隆起する。しかし乳頭状変化も有茎構造も示さず, そして組織学的にはやはり通常の扁桃組織と同一であった。この病態に対してその形状に因んで扁桃腫瘤状肥大症 (tumorous hypertrophy of thetonsil) なる称呼を提唱した。
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