Otology Japan
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原著論文
当科における鼓室形成術後の聴力成績
石永 一坂井田 寛竹内 万彦
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2010 年 20 巻 1 号 p. 13-16

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抄録

当科で2004年2月から2007年11月までの間に鼓室形成術を施行した125耳の術後聴力成績を検討した。疾患別では慢性中耳炎47耳、真珠腫性中耳炎78耳であった。術後聴力の判定は日本耳科学会用語委員会提案の「聴力改善の成績判定案2000」に基づいて行った。
結果は全症例125耳で成功耳98例、成功率は77.6%であり、術式別聴力成績ではI型34 耳で成功率85%、III型73耳で成功率77%、IV型18耳で成功率72%であった。さらに詳細に検討するとIII-c 症例では38 耳中成功率82%、III-iでは34耳中成功率74%、IV-cで10耳中成功率70%、IV-iで8例中成功率75%であった。今回の検討ではI型、III型、IV型の間、ならびにインターポジションとコルメラの間での術式別での聴力成績に統計学的有意差は認めなかった。疾患別聴力成績では慢性中耳炎症例47 耳中成功率81%、真珠腫性症例78 耳中成功率77%であった。この2群間に統計学的有意差は認められなかった。段階手術例の検討では、真珠腫性中耳炎例78耳中、一期手術を行ったのは47 耳、段階手術を行ったのは29耳であった。これらを術式別にI型、III型ならびにIV型で検討したところI型、III型では明らかな有意差は認められなかった。IV型症例では、症例数が少ないものの段階手術例の方が統計学的に有意に良好な聴力改善を示した。

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© 2010 日本耳科学会
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