Otology Japan
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原著論文
当院における耳管開放症例の検討
中西 啓水田 邦博大和谷 崇峯田 周幸
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2011 年 21 巻 2 号 p. 136-142

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抄録

2004年4月から2010年3月までに浜松医科大学耳鼻咽喉科を受診し、耳管開放症と診断した41人を対象として、初診時の年齢および性別、自覚症状、耳管開放症の原因、聴力像、治療法について検討した。初診時の年齢は、16~83歳と広範囲に分布し、平均年齢は49.0歳であった。自覚症状では、耳閉感や自声強聴を示すものはそれぞれ76%、73%と多く、自己呼吸音聴取を示すものは51%であった。耳管開放症の原因では、体重減少によるものが14人と最も多く、次いで妊娠、混合性結合組織病によるものがそれぞれ2人であった。41人中16人は難聴を示しており、6人は標準純音聴力検査で低音部の閾値上昇を認めた。保存的治療の中では、内服薬の投与、生理食塩水の点鼻は比較的有効率の低い治療であった。ルゴール液の耳管咽頭口への塗布やスポンゼルの耳管咽頭口への挿入は有効率が比較的高いものの持続期間が短いという欠点があった。保存的治療にて改善が認められなかった4人に対して、耳管ピン挿入術を施行し、3人は術後に症状が改善した。耳管ピン挿入術は、保存的治療にて改善しない難治例には有効な治療であると思われた。

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