Otology Japan
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原著論文
頭痛を契機に見出され先天性と考えられた高齢者の中耳真珠腫例
福嶋 宗久北原 糺宮部 淳二梶川 泰
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2011 年 21 巻 2 号 p. 132-135

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抄録

症 例)69才男性。
現病歴)頭痛を主訴に昨年8月に当院脳外科を受診し脳MRIで右横静脈洞から乳突洞内に発育するepidermoidが疑われる腫瘍を指摘された。乳突洞炎の所見もあるため当科紹介となった。
既往歴)高血圧、慢性心不全。頭部外傷歴はなし。
所 見)受診時右外耳孔にわずかに陥凹があったが鼓膜までの所見は正常であった。鼓膜からは鼓室内に浸出液が貯留しているのが透見され右混合難聴62.5dBを認めた。
経 過)外耳孔の陥凹部から乳突洞内と交通する小孔が徐々に生じ耳漏を伴うようになってきた。同年12月経乳突洞的に真珠腫摘出。乳突洞の骨欠損部と外耳道側の小孔を骨片で再建し終了。病理診断は真珠腫であった。術後頭痛は消失。右聴力は気骨導差が消失し36.3dBとなった。
まとめ)頭痛を主訴として偶然発見された先天性中耳真珠腫乳突部型と考えられる症例を経験した。高齢者の鼓膜所見が正常であってもまれに真珠腫が生じている場合があることに留意する必要がある。

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