Otology Japan
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パネルディスカッション1
内耳DDSを用いたIGF1投与による突発性難聴治療
中川 隆之
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2011 年 21 巻 2 号 p. 172-178

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抄録
中耳正円窓膜を介した内耳への薬物局所投与においては、薬物の適正な効果発現には、薬物の徐放が必要であることが示唆されており、必要な量の薬物を必要な時間供給するドラッグデリバリーシステム(DDS)の応用が、治療効果に大きく貢献すると考えられている。DDSには、いくつかの種類が開発されているが、細胞増殖因子などのポリペプチドでは、ゼラチンハイドロゲルが優れた徐放能力を示す。われわれは、インスリン様細胞増殖因子1(IGF1)をゼラチンハイドロゲルを用いて、内耳局所投与する方法の急性高度難聴に対する有効性を検証するためのトランスレーショナル研究を行い、最近臨床試験を行った。本治療法は、ステロイド全身投与無効の急性高度難聴例の聴力改善に有効であることが示唆され、重篤な有害事象が認められなかったことから、安全性も高いことが示唆された。今後、ランダム化対照試験を行い、さらに有効性を検証する。
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© 2011 日本耳科学会
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