鼓室内投与法において効果のえられない症例のうち、正円窓膜上閉塞例が10~20%潜在していることが諸家の報告からわかっている。このため内視鏡を用いて正円窓を明視下に観察しながら投与を行うことが重要である。ただし内視鏡を用いる欠点として鼓膜穿孔などのリスクが存在するため、極細内視鏡を開発し観察するという方法、内視鏡に装備されたカテーテルチャネルを用いて薬液を投与するという方法を考案した。1回効果が得られなかった例では、内視鏡を用いた鼓室内投与の施行を検討し、正円窓膜閉塞を除去した上で治療のタイミングを逸することなく発症早期に鼓室内投与を施行すべきである。