抄録
真珠腫性中耳炎は表皮の剥屑物堆積により周囲の骨組織が進行性に破壊されていく病態であるが、鼓膜に限局して生じるものは稀である。当科で経験した小児鼓膜内真珠腫例2例の治療と病態について文献的考察を加えて報告する。
症例1は2歳4ヵ月男児で、左鼓膜弛緩部の白色球形腫瘤を指摘され受診した。確定診断を目的に局麻下切開術を行い、内部に表皮角化物を認めた。過去に中耳炎既往歴がないため先天性鼓膜内真珠腫と診断した。術後再発は認めていない。
症例2は3歳1ヵ月女児で、右外傷性鼓膜穿孔自然閉鎖後に白色球形腫瘤を指摘され受診した。全身麻酔下摘出術を行った。腫瘤の一部がツチ骨に接していたため鼓膜を含めた摘出を行い、側頭筋膜で欠損部を修復した。病理所見などから後天性鼓膜内真珠腫と診断した。摘出部に再発を認めたため1ヵ月後に再手術を行った。
鼓膜内真珠腫は摘出を基本とするが、発生部位や成因により術式の選択が必要と考えられた。