抄録
滲出性中耳炎で発症したANCA陽性の難治性中耳炎の3症例を経験した。3症例とも滲出性中耳炎に対する鼓膜切開術や鼓膜チューブ留置術で奏功せず、経過中にMPO-ANCAが陽性となった。2例は原渕らによるANCA関連血管炎性中耳炎 (Otitis media with ANCA-associated vasculitis: OMAAV) の診断基準 (案)(表1)1)における確実例であった。1例は結節性多発動脈炎 (Polyarteritis nodosa: PAN) に合併したANCA陽性の中耳炎と考えられた。OMAAVの報告例は近年増加している2), 3)。本疾患の聴力予後改善には早期治療が必要であり2), 3)、また本疾患は時にくも膜下出血などの致命的な症状を引き起こすこともある1)。早期診断、早期治療が極めて大切である。