抄録
2011年1月~2012年12月に小児急性中耳炎診療ガイドライン2009年版で重症と判定された小児急性中耳炎症例417名を対象に、薬剤耐性菌の現況を検討した。drug resistant Streptcoccus pneumoniae(DRSP)は48%、ampicillin(ABPC)耐性Haemophilus influenzaeは77%検出された。年齢層と薬剤耐性菌の関係は、3歳未満の群は3歳以上の群と比較しDRSPが有意に高い頻度で検出されたが、ABPC耐性H. influenzaeでは差はみられなかった。集団保育と薬剤耐性菌の関係は、3歳未満の症例を対象に検討したが、集団保育有りの群は集団保育無しの群と比較し、DRSP、ABPC耐性H. influenzaeともに有意に高い頻度で検出された。3歳未満の集団保育有りの重症急性中耳炎症例では、薬剤耐性菌の感染を念頭においた抗菌薬選択と慎重な経過観察が必要と考えられた。