Otology Japan
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指定演題 中耳真珠腫進展度分類と術式選択2
中耳真珠腫に対する軟骨鼓室形成術の術後中期成績
長谷川 賢作國本 泰臣矢間 敬章久家 純子北野 博也
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2014 年 24 巻 3 号 p. 233-239

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抄録

当院で初回手術を施行した後天性中耳真珠腫63例について、進展度・アブミ骨病変・伝音再建術式・含気化および術後陥凹に関して検討した。中耳真珠腫進展度分類2010改訂案を用いて評価すると、進展度に関しては緊張部型stage IbとIIIの術後気骨導差に有意差を認めた。アブミ骨上部構造に病変があれば術後気骨導差に影響し、特にIV型再建になった症例では弛緩部・緊張部型共に有意に不良であった。
同進展度分類を改変した独自の含気分類で、術前含気化の術後聴力への影響を検討した。術前CT画像で上鼓室の含気化が確認される弛緩部型症例では、聴力成績が良好であった。術後上鼓室側壁陥凹は10/32の弛緩部型と8/31の緊張部型で観察されたが、陥凹の有無に伴う術後聴力成績に有意差はなかった。
中耳真珠腫進展度分類2010改訂案は、真珠腫の進展度・アブミ骨病変・伝音再建の評価に有用な分類と考えるが、今後は鼓室の含気化についても言及されることを希望する。

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© 2014 日本耳科学会
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