Otology Japan
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指定演題 中耳真珠腫進展度分類と術式選択1
中耳真珠腫初回手術例の検討
吉田 忠雄曾根 三千彦加藤 健中島 務
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2014 年 24 巻 3 号 p. 227-232

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抄録

2007年1月から2013年3月まで名古屋大学医学部附属病院で、初回手術を受けた120耳の真珠腫の進展度、術型、術式、聴力改善成績、再発について検討した。進展度は中耳真珠腫進展度分類2010改定案に基づいて判別した。弛緩部型真珠腫は99耳 (男: 女=65: 34、年齢7~72歳、中央値44歳) 緊張部真珠腫は21耳 (男: 女=16: 5、年齢5~59歳、中央値31歳) であった。当科では真珠腫初回手術においてCWUを基本とするが、条件によりCWDを選択する症例もある。120耳中、stage Iが11耳、stage IIが80耳、stage IIIが29耳であった。術式ではCWU法が66耳、CWD法が54耳であり、型別に見ると、弛緩部型はstage Iが6耳、stage IIが70耳、stage IIIが23耳であった。緊張部型ではstage Iが5耳、stage IIが10耳、stage IIIが6耳であった。弛緩部型、緊張部型真珠腫ともにStage IIの症例が最多であった。聴力改善にはアブミ骨の状態が関与することが示唆された。CWU法で遺残再発を多く認めたため、死角をより少なくする工夫をする必要があると思われた。

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