2015 年 25 巻 1 号 p. 13-18
当院で手術加療を行った小児先天性真珠腫16症例について検討し、経鼓膜摘出、耳後部切開の適応と成績を中心に考察した。Potsicの分類に従って、StageI、IIの先天性真珠腫のうち前方に存在する4耳に対して経鼓膜摘出で手術を行い、その他12耳は耳後部切開で手術を行った。経鼓膜摘出4耳のうちStageIIの2耳で再発を認め、またopen型では被膜形成されていないため一塊にして摘出することが難しく、経鼓膜摘出はStageIでclosed型の真珠腫が良い適応と思われた。耳後部切開では12耳中3耳で再発を認め、ツチ骨柄の裏や鼓室洞など視野の確保が難しい部位に特に注意が必要であった。聴力は術後気骨導差で評価し、観察期間1年以内の2耳と、術後に純音聴力検査を行っていない1耳を除く13耳のうち12耳で術後気骨導差20dB以内、1耳で21~30dBとほぼ満足できる結果であり、後天性と比較して良好であった。