Otology Japan
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25 巻 , 1 号
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招待講演
  • 佐藤 悠
    2015 年 25 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/03/01
    ジャーナル フリー
    山梨大学生理学教室の14年間の聴皮質研究を総説する。覚醒ネコA1細胞には反応多様性があり一過性、持続性反応する。前者は興奮と抑制が時間交代し、後者は周波数交代する。前者は音エネルギー積分時間が短く(<2.5ms)、後者は長い(20ms)。前者は音の時間情報を符号化し、後者は周波数情報を符号化する。両者の反応相補性によりA1は広レンジの音のパラメターの符号化を行う。より高次の前、後聴覚野では両者の情報は並列分散処理される。高次聴覚野はA1の多様な情報のうち行動目的に合った情報のみを選択する。A1は個体の行動目的の有無に拘わらず音情報を符号化し、大脳腹側部の高次聴覚野は行動目的があるときのみ活動する。
原著論文
  • 宮原 伸之, 福島 典之, 平位 知久, 三好 綾子, 有木 雅彦
    2015 年 25 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/03/01
    ジャーナル フリー
    15歳以下の先天性真珠腫52例53耳の発見契機、臨床所見、手術成績などを進展度とその関係で検討した。発見契機は偶発例が19耳と最多であった。鼓室内に白色病変が透見可能であったのは42耳で、後上部病変が25耳と最多であった。Potsic分類はStageIIIが39耳で最多を占めた。真珠腫の形態はClosed型が41耳、Open型が12耳で、耳小骨の骨破壊は30耳に認められた。StageI・IIは鼓室形成術I型を、StageIII・IVは鼓室形成術III型やIV型を行った。術後の聴力改善率は全体で78%であり、Stageが進行した症例ほど低下していた。StageIII・IVのうち、真珠腫進展度副分類 (アブミ骨病変程度の分類) でS0・S1は聴力改善率が80%以上であったが、S2では62%と低下していた。StageIII・IVでも、アブミ骨病変の状態により聴力予後は異なっていた。真珠腫進展度副分類は先天性真珠腫の耳小骨病変の程度を評価し、聴力予後を予測するのに活用できると考えられた。
  • 岡 愛子, 佐藤 進一, 大野 恒久, 吉田 充裕, 脇坂 仁美
    2015 年 25 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/03/01
    ジャーナル フリー
    当院で手術加療を行った小児先天性真珠腫16症例について検討し、経鼓膜摘出、耳後部切開の適応と成績を中心に考察した。Potsicの分類に従って、StageI、IIの先天性真珠腫のうち前方に存在する4耳に対して経鼓膜摘出で手術を行い、その他12耳は耳後部切開で手術を行った。経鼓膜摘出4耳のうちStageIIの2耳で再発を認め、またopen型では被膜形成されていないため一塊にして摘出することが難しく、経鼓膜摘出はStageIでclosed型の真珠腫が良い適応と思われた。耳後部切開では12耳中3耳で再発を認め、ツチ骨柄の裏や鼓室洞など視野の確保が難しい部位に特に注意が必要であった。聴力は術後気骨導差で評価し、観察期間1年以内の2耳と、術後に純音聴力検査を行っていない1耳を除く13耳のうち12耳で術後気骨導差20dB以内、1耳で21~30dBとほぼ満足できる結果であり、後天性と比較して良好であった。
  • 佐藤 進一, 鈴木 良, 大野 恒久, 吉田 充裕, 脇坂 仁美, 大庭 晋, 岡 愛子
    2015 年 25 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/03/01
    ジャーナル フリー
    我々は真珠腫性中耳炎に対して、ほぼ全例に後壁保存ないしは後壁硬性再建の手術を行っている。2004年12月から2013年4月までに倉敷中央病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科で鼓室形成術を行った緊張部型真珠腫新鮮例35耳について検討した。これらの症例を中耳真珠腫進展度分類2010改訂案1)に従って分類し、術式選択、聴力成績、再発について検討した。術後聴力成績を評価し、全体の成功率は79% (23耳/29耳) と良好であった。最終手術後の再発も3% (1耳/35耳) と良好であった。Stage分類によって術式が変化しており、当分類は妥当と考えられた。S分類が進行するに従い、聴力成績は悪化した。
  • 能田 淳平, 渡辺 太志, 佐伯 忠彦, 大河内 喜久
    2015 年 25 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/03/01
    ジャーナル フリー
    2009年1月から2013年12月までの5年間に当科で手術を行った外耳道真珠腫17例18耳について臨床的検討を行った。年齢は27から92歳、平均57.1歳であり、性別は男性が11例、女性が6例であった。側頭骨CTによる真珠腫の進展範囲は外耳道限局例が7耳、乳突部進展例が6耳、顎関節包進展例が5耳であった。Naimら3)による病期分類を用いるとIII期が6耳、IV期が12耳であった。手術では真珠腫と腐骨を完全除去後、外耳道を滑らかかつ平坦になるように形成・再建した。術式は、外耳道限局例の7耳と顎関節包進展例の5耳には外耳道形成術を行ない、乳突部進展例の6耳のうち、4耳に外耳道後壁削除・再建術 (硬組織再建) を、1耳に外耳道後壁削除・再建術 (軟組織再建) を、1耳に外耳道後壁削除術 (乳突開放型・後壁再建なし) を各々行った。外耳道が上皮化するまでに要した期間は10日から164日であり、平均65.6日であった。Naimら3)による病期分類III期が平均39.8日、IV期が平均77.4日となり、病期が進むほど上皮化に長期間を要する傾向がみられた。2耳 (11.1%) に再発を認めたが、外耳道限局型例の1耳は保存的治療を行い、乳突部進展例の1耳には再手術を行った。術後は外耳道の上皮化や真珠腫の再発に留意して慎重な経過観察が必要である。
  • 北野 雅子, 坂井田 寛, 竹内 万彦
    2015 年 25 巻 1 号 p. 31-38
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/03/01
    ジャーナル フリー
    ANCA関連血管炎に伴う難治性中耳炎症例8例15耳について検討した。多発血管炎性肉芽腫症が5例、顕微鏡的多発血管炎が2例、ANCA関連血管炎性中耳炎診断基準 (案) を満たすものが7例、いずれの診断基準も満たさないものが1例であった。ANCA関連血管炎性中耳炎診断基準 (案) にも該当しない1例は診断に苦慮したが、慎重な除外診断を行った上でステロイド治療を行い軽快した。一方、治療経過中に顔面神経麻痺を生じ、その後両側聾となり、不幸な転機となった1例も経験した。難治性中耳炎例では、鑑別診断を十分に行った上で、治療予後を改善するためにもANCA関連血管炎性中耳炎診断基準 (案) も参考にして早期に治療を開始することが望ましい。
  • 森 牧子, 中川 千尋, 高橋 優宏, 折舘 伸彦
    2015 年 25 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/03/01
    ジャーナル フリー
    急性中耳炎の多くは伝音難聴であるが、その中で内耳障害を生じたと考えられる骨導閾値上昇を伴う中耳炎が認められる。当科で骨導閾値上昇をきたした成人急性中耳炎症例12例を経験した。感冒様症状が10例に先行し、聴力型は高音漸傾型9例、水平型2例、山型が1例であった。治療は抗菌薬と副腎皮質ステロイドの投与を基本とし、CO2レーザー鼓膜切開による中耳貯留液の排泄、中耳内圧の解除をできるだけ早期に行った。聴力回復までの期間は18~79日と遷延化する例もみられたが、予後は治癒9例、回復3例と比較的良好であった。急性中耳炎の内耳障害合併の機序は、細菌やウイルス、エンドトキシン等の炎症産物が内耳窓を経由し感音難聴や前庭症状を生じるとされ、内耳障害が可逆的であるうちに適切な治療が必要と考えられた。
  • 鍋倉 隆, 松田 圭二, 土屋 克之, 東野 哲也
    2015 年 25 巻 1 号 p. 44-50
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/03/01
    ジャーナル フリー
    真菌感染によって生じた頭蓋底骨髄炎に対して手術、抗真菌薬の点滴、高圧酸素療法を行い症状が消失した。しかし、その9ヶ月後に対側に末梢性顔面神経麻痺を伴って再燃した。初回入院時に奏功した抗真菌薬と高圧酸素療法を用いることで早急に症状を消失させることができた。その治療効果を、β-Dグルカン値を指標として判定を行った。治療終了後2年経過して再燃を認めていないことから、β-Dグルカン値を指標とすることが真菌感染によって生じた頭蓋底骨髄炎の治療効果の判定に有効であると考えられた。
  • 小笠原 徳子, 才川 悦子, 高野 賢一, 新谷 朋子, 氷見 徹夫
    2015 年 25 巻 1 号 p. 51-57
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/03/01
    ジャーナル フリー
    当科では1988年から人工内耳埋め込み術を行っている。導入から25年以上が経過し、これまでに経験した術後合併症についてその原因と対策を検討することを目的として後ろ向き調査を行った。1988年から2013年5月までに札幌医科大学病院耳鼻咽喉科にて人工内耳埋め込み術を施行した248耳を調査対象とした。術後合併症を「人工内耳埋め込み術後に何らかの追加の診療・治療・処置を必要とした症状」と定義し、診療録からの記載をもとに検討した。結果として248耳中、92耳 (37%) に何らかの術後合併症を認めた。観血的治療を必要とした重度合併症は12耳 (4%) であった。人工内耳機器は時代により変遷しており、手術方法、適応基準、適応年齢に変化が生じてきている。これまでの報告と同様に、きめ細かな配慮を丁寧に行い、手術実施医療機関において長期の経過観察を行うことが合併症の減少につながると考えられた。
  • 大石 直樹, 井上 泰宏, 鈴木 隆史, 神崎 晶, 渡部 高久, 稲垣 洋三, 若林 聡子, 山田 浩之, 小島 敬史, 平賀 良彦, 細 ...
    2015 年 25 巻 1 号 p. 58-64
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/03/01
    ジャーナル フリー
    1985年から2014年までの30年間に慶應義塾大学病院耳鼻咽喉科外来を受診した神経線維腫症2型 (Neurofibromatosis type 2、以下NF2) 患者25例のうち、1年以上無治療で聴力の経過を追えた19例30耳を対象に、聴力の長期自然予後について検討を行った。平均経過観察期間は約7年で、平均約5dB/年の速度で聴力が悪化していた。有効聴力を維持している割合は、初診時27耳 (90%) から最終経過観察時16耳 (55%) に低下していた。初診時に語音弁別能が悪化している症例、および腫瘍径が増大する症例は、聴力の悪化を来しやすい傾向がみられた。現行の治療法では聴力温存率が良好でないNF2だが、自然経過でも聴力が悪化する症例が多いことが明らかとなった。本報告は、本邦におけるNF2患者の長期聴力自然経過に関して最大の症例数に基づく報告であるが、海外からの発表に比較するとはるかに少ない。本邦でも耳鼻咽喉科医がより積極的に関与した形でのさらなる症例の蓄積が必要であると考えられた。
  • 柳 嘉典, 矢部 多加夫, 岡田 和也, 中村 友香, 三橋 敏雄
    2015 年 25 巻 1 号 p. 65-69
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/03/01
    ジャーナル フリー
    手術によって神経腫の診断を得た、稀な鼓室内腫瘍の症例を経験したので、文献的考察を加えて報告した。症例は45歳、男性。半年以上前からの全身倦怠感、手足のしびれ、頭痛で近医を受診し、頭部MRIを施行したところ、偶発的に右鼓室内に腫瘤様陰影を認めたため、当科を紹介受診した。鼓膜所見では、弛緩部と後上象限部の上皮の菲薄化および陥凹と周辺の石灰化を認め、聴力は伝音難聴を認めた。鼓膜穿孔の既往はなく、上鼓室にも陰影を認めることから先天性真珠腫を疑い、鼓室内腫瘍摘出術を施行したが、結果は神経腫の診断であった。鼓室内に限局する腫瘤様陰影として外傷の既往のない神経腫 (neuroma) の報告例は我々が文献を渉猟しえた範囲ではない。鼓室内の神経原性の腫瘍として顔面神経鞘腫が挙げられるが、神経腫の診断がついた本例について、顔面神経鞘腫との比較検討を行った。
パネルディスカッション
  • -富山県における難聴児早期療育への取り組み-
    麻生 伸
    2015 年 25 巻 1 号 p. 71-75
    発行日: 2015年
    公開日: 2017/03/01
    ジャーナル フリー
    難聴児の早期発見・早期療育のためには、医療圏の中で産科における新生児聴覚スクリーニング検査 (NHS) から耳鼻咽喉科精密聴力検査機関への紹介、早期に診断を確定して補聴器装用、療育機関での介入開始という一連の流れが速やかに行われる仕組み作りが求められる。富山県には1980年代から難聴幼児通園施設 (児童発達支援センター) があり、医師、言語聴覚士、聴覚特別支援学校教諭らを中心とした勉強会もあったため、各職種同士の横の連携が密接であった。2005年に県が新生児聴覚検査事業を開始した後は、産科との連携も生まれ、現在では全ての産科施設が97%以上の出生児に対して検査を実施し、発見された全ての難聴児が生後3~4ヶ月以内に介入されている。富山県における児童発達支援センターを中心とした取り組みについて報告した。
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