15歳以下の先天性真珠腫52例53耳の発見契機、臨床所見、手術成績などを進展度とその関係で検討した。発見契機は偶発例が19耳と最多であった。鼓室内に白色病変が透見可能であったのは42耳で、後上部病変が25耳と最多であった。Potsic分類はStageIIIが39耳で最多を占めた。真珠腫の形態はClosed型が41耳、Open型が12耳で、耳小骨の骨破壊は30耳に認められた。StageI・IIは鼓室形成術I型を、StageIII・IVは鼓室形成術III型やIV型を行った。術後の聴力改善率は全体で78%であり、Stageが進行した症例ほど低下していた。StageIII・IVのうち、真珠腫進展度副分類 (アブミ骨病変程度の分類) でS0・S1は聴力改善率が80%以上であったが、S2では62%と低下していた。StageIII・IVでも、アブミ骨病変の状態により聴力予後は異なっていた。真珠腫進展度副分類は先天性真珠腫の耳小骨病変の程度を評価し、聴力予後を予測するのに活用できると考えられた。