Otology Japan
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原著論文
耳管開放症に対する音響法を用いた体位変換耳管機能検査
大田 重人桂 弘和池畑 美樹赤澤 和之三代 康雄阪上 雅史
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2015 年 25 巻 5 号 p. 800-804

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抄録

耳管開放症に対する耳管機能検査装置を用いた検査方法としては、主に音響耳管法(以下、音響法)と耳管鼓室気流動態法(TTAG法)が行われる。これまで耳管開放症の所見として、音響法による耳管開大時間の延長(スキースロープ型や開放プラトー型)、鼻咽腔提示音圧の低下およびTTAG法による鼻咽腔圧に一致した外耳道圧の変動が報告されてきた。しかし、耳管開放症の耳症状が臥位や前屈位などの体位変換によって変化するという大きな特徴を反映した検査は行われてこなかった。そこで我々は、耳管開放症の診断のために耳管機能検査装置による音響法を用いた体位変換耳管機能検査を考案した。今回、健常者および耳管開放症患者に対して音響法を用いた体位変換耳管機能検査を施行し、耳管開放症の診断に有効であるかを検討した。その結果から体位変換による外耳道音圧上昇5dB以上が耳管開放症の陽性所見と考えられた。体位変換耳管機能検査による陽性率は、耳管開放症確実例31耳で48%、疑い例29耳では28%であり、「耳管開放症診断基準案2012」における確認項目の陽性率と同等であることが示された。

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© 2015 日本耳科学会
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