2016 年 26 巻 3 号 p. 179-182
近年人工内耳の普及とともに再手術の頻度は見逃せなくなっている。大阪大学医学部附属病院において1992年1月から2015年3月末までに607耳(518例)の人工内耳手術が行われた。このうち、同時もしくは短期間の間に摘出と再埋め込みを行う入れ替え手術は47耳(7.7%)であった。入れ替えの原因として小児では器械の故障や外傷が多く、成人では電極のスリップアウトが目立っていた。我々の経験から入れ替えにあたっての手術側の決定について考察した。同側への入れ替えをまず考えるが、言語獲得期の小児で同側への入れ替えは2期的に行わざるを得ない場合や、髄膜炎後の症例、マップ調整では対応困難な顔面痙攣がある症例などでは対側への手術を考える。