2017 年 27 巻 1 号 p. 24-30
成人の真珠腫性中耳炎、乳様突起炎に続発した脳膿瘍の3例を経験した。いずれも脳膿瘍に対する外科的治療を要し、3例中2例は後遺症なく軽快したが、1例は意識レベルの改善を認めなかった。中枢神経症状、炎症反応を伴う中耳疾患では本疾患を想起し、早期に診断し治療を開始することが重要である。CT検査にて頭蓋底の骨破壊が認められる中耳炎症例では、耳性頭蓋内合併症を生じている可能性を考慮し、軟部組織条件のCT検査、MRI検査で頭蓋内合併症の有無を確認する必要があると考えらえた。