Otology Japan
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原著論文
急性低音障害型感音難聴難治例に対する漢方薬の効果
真鍋 恭弘徳永 貴広
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2018 年 28 巻 3 号 p. 139-143

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抄録

急性低音障害型感音難聴(以下、ALHL)は、比較的予後良好な疾患ではあるが、各種薬物治療に反応しない難治例が1割から2割程度存在すると考えられる。難治例の治療は、薬剤の選択や治療継続の判断が難しく、医師が治療を途中で断念したり、患者が高次医療機関への紹介を希望する場合も多い。したがって、ALHLの臨床上の課題の一つは難治例に対する治療であると考えられる。今回、我々はALHLの難治例に対し、人参養栄湯と五苓散をそれぞれ単独で投与し、その効果を検討した。その結果、人参養栄湯は五苓散よりも、ALHL難治例に対し、有意に効果を発揮した。そのことから、ALHLの発症に漢方医学で言われるところの「虚」の存在が示唆され、人参養栄湯が効果を発揮した可能性が考えられた。また、人参養栄湯の循環改善作用が蝸牛血管条に作用し、効果を発現した可能性についても考察した。

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