Otology Japan
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原著論文
治療中に薬剤性腎障害をきたした多剤耐性緑膿菌とメチシリン耐性黄色ブドウ球菌による悪性外耳道炎症例
玉江 昭裕野田 哲平岡 正倫西山 和郎
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2019 年 29 巻 1 号 p. 64-68

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抄録

症例は86歳女性.当院受診までに70日間の治療を受けるが右耳漏,右耳痛が増悪し当科紹介受診.前医での右耳漏からの細菌検査で多剤耐性緑膿菌とメチシリン耐性黄色ブドウ球菌が検出されており,合併症として2型糖尿病を認めた.悪性外耳道炎の診断で入院治療を行った.当科での細菌検査では多剤耐性緑膿菌のみが検出されたが,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌も含めて抗菌薬治療を行った.ドレナージ及び悪性腫瘍の鑑別目的に手術を施行し,その後抗菌薬による治療を継続した.治療中,バンコマイシンにより腎障害が発生するなど治療に難渋したが,75日間の入院治療および20日間の外来での抗菌薬内服治療により治療後1年時点まで再発は認めなかった.バンコマイシンは治療域とされているトラフ値でも薬剤性腎障害がおこりうるため注意が必要である.

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© 2019 日本耳科学会
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