Otology Japan
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原著論文
集約的治療を要した好酸球性中耳炎症例の臨床経過
菊地 さおり関根 康寛吉田 沙絵子飯野 ゆき子
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2020 年 30 巻 1 号 p. 29-35

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抄録

好酸球性中耳炎は全身の好酸球性の炎症が上気道に出現したと考えられる難治性の中耳炎である.当院では長期管理療法としてトリアムシノロンの鼓室内投与を基本に治療を行っている.しかし中には治療に抵抗性で,入院加療や外科的処置を含む集約的治療を要した症例がみられた.当院で1年以上経過を観察し得た好酸球性中耳炎症例は19症例で,うち12例は長期管理療法のみで治療し得たが,7例は集約的治療を要した.前者を対照群,後者を集約的治療群とし,両群における臨床的背景,治療後の経過,聴力推移などについて比較検討した.その結果,細菌感染を伴った肉芽型の重症例が集約的治療を要した.集約的治療後は重症度スコアの有意な低下が認められた.しかしなおも重症度が高い治療抵抗性の症例も存在した.その治療抵抗因子は今後の検討課題である.

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© 2020 日本耳科学会
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