Otology Japan
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原著論文
一側混合性難聴に対する人工中耳(Vibrant Soundbridge®: VSB)埋込み症例
高橋 優宏岩崎 聡古舘 佐起子久保田 江里岡野 光博野口 佳裕宇佐美 真一
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2020 年 30 巻 1 号 p. 36-42

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抄録

耳掻き外傷による一側混合性難聴症例に対し人工中耳(Vibrant Soundbridge®: VSB)埋込み術を施行した.

本邦における人工中耳臨床試験(両側難聴)と同様に自覚的・他覚的評価はいずれも良好な成績であった.裸耳骨導閾値はいずれの周波数においても保存され変化がみられず,装用後12ヶ月での長期安全性が確認できた.また人工中耳装用閾値,語音弁別検査(静寂下および騒音下)いずれも改善がみられ,さらに方向定位検査においても術前と比較して方向定位能力の改善がみられ有効性が示された.両側難聴と異なる点として,いずれの検査も装用3ヶ月以降も継時的に改善傾向がみられていた.そのため,一側性伝音・混合性難聴に対する人工中耳評価には一定の装用期間が必要であると示唆された.

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© 2020 日本耳科学会
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