Otology Japan
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原著論文
当科で経験したANCA関連血管炎性中耳炎(OMAAV)症例の臨床的検討
北村 貴裕坂田 義治宇野 敦彦
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2020 年 30 巻 2 号 p. 97-103

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抄録

当科で経験したANCA関連血管炎性中耳炎(OMAAV)症例9例,16耳について検討した.9例中の7例が両側罹患であり,うち6例は左右の鼓膜所見型も一致していた.全身疾患としての特徴を示すと考えられた.MPO-ANCA陽性が5例,PR3-ANCA陽性が2例,いずれも陽性の例はなかった.副腎皮質ステロイドは全例に用いられ,免疫抑制薬,分子標的治療薬が症例によって併用された.聴力の治癒・著明回復は16耳中5耳に得られた.鼓膜所見正常型では4耳中の3耳に治癒・著明回復がみられ,滲出性中耳炎型,肉芽性中耳炎型に比べ良好であった.難聴発症から治療までの期間と聴力経過には,明らかな関係は見出せなかったが,治療までの期間の長い耳の難聴は不変・悪化であった.顔面神経麻痺,肥厚性硬膜炎を呈した症例が1例ずつあり,これらの患側の難聴は回復しなかった.速やかな診断と遅滞ない治療が望ましいと思われる.

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© 2020 日本耳科学会
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