Otology Japan
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原著論文
好酸球球性中耳炎として治療中にCogan症候群が判明した1例
吉田 沙絵子関根 康寛菊地 さおり飯野 ゆき子
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2020 年 30 巻 4 号 p. 271-280

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抄録

Cogan症候群は非梅毒性角膜実質炎に前庭機能障害と感音難聴を伴う稀な疾患である.血管炎症候群の一つとして自己免疫性の機序を持つとされ,1〜2割程度に高安動脈炎を合併すると報告されている.今回我々は,好酸球性中耳炎として治療中に,Cogan症候群が判明した1例を経験したので報告する.

症例は64歳女性.20歳代で気管支喘息と診断され,プレドニゾロン(PSL)依存性であり,62歳よりメポリズマブの投与を受けている.50歳で好酸球性中耳炎と診断され,62歳時当科紹介となった.経過中耳漏がないにも関わらず,骨導閾値上昇を繰り返し,PSLを投与するが難聴は進行した.63歳より強膜炎を発症し,他院で治療されるがPSL依存性に症状が変動した.眼症状と内耳障害の発症に時間的乖離があり,非典型的Cogan症候群の診断となった.

本症例の臨床経過を報告するとともにCogan症候群と血管炎との関係性についても検討を加える.

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© 2020 日本耳科学会
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