2021 年 31 巻 1 号 p. 31-38
小児反復性中耳炎に対する鼓膜換気チューブ留置術の有効性と永久穿孔について検討した.穿孔は挿入期間18–24カ月の群で14.3%で24カ月以上の群は30%で,6–12カ月の2.3%,6カ月未満の1.2%より有意に多かった.さらにチューブ除去時の処置などでの穿孔の頻度を比較した.チューブの自然脱落群,抜去の時に閉鎖処置を行わない抜去無処置群,抜去時に穿孔新鮮化やパッチなどの閉鎖処置を行った抜去処置群に3群で検討したところ,抜去処置群は穿孔1.5%で抜去無処置群の11.1%に比べ有意に穿孔が少なかったが,自然脱落群4.3%とは差は無かった.また穿孔のリスクについてロジスティック解析を行ったところ,最もオッズ比が高かったものは,穿孔処置の有無で,次に留置期間12カ月以上であった.穿孔を避けるためには,中耳炎がコントロールされていれば留置期間を12カ月までにするか,また12カ月以上留置する場合は,抜去時に閉鎖処置を行うことで穿孔の合併症は減ると思われた.