Otology Japan
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原著論文
コクレア社製人工内耳電極(CI532)の電極先端の折れ曲がり(tip-fold-over)例
冨岡 亮太河野 淳太田 陽子白井 杏湖塚原 清彰
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2021 年 31 巻 4 号 p. 472-478

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抄録

前彎曲電極であるCI532(コクレア社,オーストラリア)では,電極の前庭階への挿入が多くなり,電極先端の折れ曲がり(tip-fold-over)がしばしば問題となる.当院ではこれまで32耳のCI532植込み術を施行し,tip-fold-overを2例経験した.原因につきビデオを精査した.症例1.2ともにtip-fold-overを起こした際のシースハンドルの位置は基底膜方向へ向いており,適切な挿入が出来た際は蝸牛軸を向いていた.当院での挿入方向の不適正は3例あり,3例中2例でtip-fold-overが生じた.シースハンドルの向きが重要と考えられた.また,シースに電極を収納する際に,電極の回転面がシースハンドルの面からややずれている症例も認められた.これらにtip-fold-overは確認できなかったが,電極をシースに収納する前に,電極の回転面の確認が必要である.また回転面のずれを確認した場合には,その角度を考慮したガイド推奨角度での挿入が必要と思われた.

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