Otology Japan
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原著論文
通常人工内耳電極(Flex28TM)と電気音響刺激型オーディオプロセッサー(DUET2TM)併用による残存聴力活用型人工内耳症例
松田 悠佑奥田 匠上江 愛髙木 実我那覇 章東野 哲也
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2021 年 31 巻 4 号 p. 479-484

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抄録

残存聴力活用型人工内耳(EAS)の保険適応は短い電極(Flex24電極)に制限され,この場合のみ音響刺激機能を有した体外器(DUET2, SONNET EAS)が選択できる.今回,通常人工内耳電極(Flex28電極)術後の残存聴力に対しDUET2を用いてEAS効果を検討する.症例は50歳時に両側難聴を主訴に宮崎大学医学部附属病院耳鼻咽喉科を初診,両側高音障害型感音難聴を呈していたため左耳にFlex24電極を用いた残存聴力活用型人工内耳手術を施行した.術後2年半は残存聴力が温存されたがその後,低音域聴力の増悪を認めた.右耳には初診時から補聴器装用を継続していたが59歳時に装用効果の悪化を認めたためFlex28電極を用いた人工内耳手術を施行した.裸耳聴力は術後18ヶ月目でも低音域聴力が温存されており,対側で使用していたDUET2を用いて音響刺激を加える(EAS)と雑音下に加え静寂下でも電気刺激のみのマップより良好な語音聴取成績を示した.今後,使用人工内耳電極の長さや形状に関わらず,残存聴力に応じてEASが可能な体外器の選択ができる制度が望まれる.

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© 2021 日本耳科学会
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