2022 年 32 巻 1 号 p. 13-17
組織マクロファージは全身のほぼすべての臓器に恒常的に存在し,免疫担当細胞としてのみならず組織における恒常性の維持に関与している.組織マクロファージは主に炎症時に周囲の血管から誘導される炎症性マクロファージとは様々な点で異なる特徴を有している.血管条の組織マクロファージは常に血管条内血管に接して存在しており,血管周囲マクロファージに分類される.血管条内マクロファージは,Blood Strial Barrierのメンバーとして血管透過性の制御を行っている一方,血管内から組織中に侵入した異物や病原体,沈着物,あるいは組織中の老廃物や変性細胞などをいち早く感知し,活性型に移行して貪食する機能を有している.Slc26a4 KOマウスの血管条では過剰な色素沈着とマクロファージの増加が観察され,マクロファージの活性化が色素沈着によって促進されている可能性が示唆された.