Otology Japan
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ネクストジェネレーションセッション4
中耳の微細解剖と内視鏡下耳科手術
岡野 高之
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2022 年 32 巻 1 号 p. 19-25

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抄録

耳小骨,粘膜ヒダや靭帯で構成される中耳の区画とその換気ルートについては1867年のPrussakの報告までさかのぼる.従来は解剖学や顕微鏡手術の観点から記述されていたが,近年の光学機器の高解像度化により経外耳道的内視鏡下耳科手術(TEES)が実現するにつれて,粘膜ヒダや区画の手術における意義が再認識されている.粘膜ヒダは位置や大きさに個体差があるものの生体において常に存在する構造物であるとともに,各区画の換気ルートや病態を理解するのにあたり,粘膜ヒダと区画の解剖学的構造を正しく認識することが重要となる.中耳の手術は,顕微鏡を使った骨の手術から,内視鏡を使った粘膜ヒダ靭帯の軟部組織の手術への発想の転換が生じている.TEES術前には粘膜ヒダや区画を念頭において病変の進展範囲の十分な評価を行うとともに,病変の除去とともに換気ルートの確保を意識した術式の決定が求められる.

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© 2022 日本耳科学会
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