Otology Japan
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原著論文
内耳充填術後に一過性顔面神経麻痺を呈した内耳先天異常例
手塚 綾乃甲州 亮太野田 昌生島田 茉莉佐々木 徹伊藤 真人
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2022 年 32 巻 2 号 p. 217-221

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抄録

小児髄膜炎の原因として内耳先天異常が知られている.今回,内耳充填術後に一過性顔面神経麻痺を呈した症例を経験した.

6歳男児.ABRでは左高度難聴を認め,CTにて左内耳高度形成異常(IP-I)であった.当科では髄膜炎発症リスクが高いと考えられる内耳先天異常例に対しては,予防的内耳充填術を治療選択肢と考えており,試験的鼓室開放術+予防的内耳充填術を施行した.アブミ骨底板の瘻孔形成と髄液漏を認め,アブミ骨を摘出すると内耳腔は内耳道と交通していた.側頭筋膜を内耳へ挿入し,その上から卵円窓を軟骨片で塞いだ.髄液漏の停止は得られたが,帰室後から左顔面神経麻痺を呈したため,翌日に緊急鼓室開放を行った.内耳の充填材料を抜去し,内耳道底の瘻孔を塞ぐように軟骨を留置し,その手前に筋膜を挿入する形で再度内耳を充填した.術後7日で麻痺は完全に回復した.内耳-内耳道の交通を認める場合は,内耳道圧迫を避ける充填の工夫が必要と考えられた.

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